HEMSとは
「HEMS=ヘムズ」とは「ホームエネルギーマネジメントシステム(Home Energy Management System)」の頭文字を取ってできた言葉です。
HEMSの役割の1つであるエネルギー消費量を表示するモニターや測定装置のことをHEMSと言うこともありますが、特定の機器を指す単語ではなくシステム全体の総称を指します。
エネルギーの見える化
では、HEMSの役割とは何でしょう?最大の役割は「エネルギーの見える化」を実現することです。
HEMSを導入することによって、家庭におけるエネルギー消費量をモニターやパソコン、タブレット端末などを通じていつでも確認できるようになります。
省エネに貢献
これまで私たちがどれだけの電力を使ったかを確認するには、まず電力会社の人が各家庭の電気メーターの数値を調べに来て、そのメーターの数値を元に電気料金が請求されることで、そこで初めて過去1か月間の使った電力量を結果として知ることができました。
しかしHEMSがあれば、今日一日の電力使用量や、昨日一昨日などの使用量もすぐに確認することができます。
しかも、どの電化製品がどれだけの電力を使っているのかも分かりますし、数時間後や翌日などの電力使用量を予測して、省エネに関するアドバイスもしてくれます。
自分がどれだけの電力を使っているのか、あるいは削減できているのかといったことをいつでも簡単に知ることができるため、HEMSは省エネに大きく貢献できるシステムだと期待されています。
BEMS
家庭用のHEMSの対して、ビル内のエネルギー監理システムは「べムス=BEMS(Building Energy Management System)」と言います。
BEMSはビル内の配電設備、空調設備、照明設備、換気設備、OA機器等の電力使用量のモニタリングや制御を行うためのシステムです。
BEMSには使用電力量デマンドを監視しピークカット制御をするデマンド応答(デマンドレスポンス)も含まれます。
HEMS同様、ビル全体の省エネと快適性を実現させることが目的です。
BEMSの機能
- 電力の使用状況を可視化できること。
- 機器の制御を行えること。
- デマンドピークを抑制できること。
- 電力センサー、温度センサー、照度センサー等の各種センサーからの情報を集め「見える化」する機能と、空調、照明等の機器を制御する機能に大別できます。
BEMSにより電力使用量を可視化し、適切に制御することが可能となれば省エネを実現できます。
また、BEMSによるデマンドピークの抑制は特に望まれている機能です。デマンドピークを抑制することにより、電気基本料金を低減することが出来るからです。
MEMS
更にマンション向けのエネルギー管理システムを「メムズ=MEMS(Mansion Energy Management System)」と言います。
メムズを導入して、省エネや節電を全体として無理なく実現できるようにした「スマートマンション」が注目されています。
スマートマンションとは
「スマートマンション」とはマンション全体でエネルギーの管理を行い、各戸によって効率的な使用や無理のない節電を実現するマンションのことです。
MENSによる「見える化」によって、マンション全体での電力使用量を測定して、各戸ごとにスマートフォンやパソコン、インターホンモニターなどでチェックできます。
MEMSアグリゲータと呼ばれる認定事業者がエネルギー管理サービスを提供します。また、太陽光発電や蓄電池などと組み合わせることで、停電時におけるエネルギーセキュリティの強化を図ることも可能となるのです。
FEMSとCEMS
上記のHEMS、BEMS、MEMSのほかに、工場におけるエネルギー監理システムの「フェムス=FEMS(Factory Energy Management System)」というシステムもあります。工場内の配電設備、空調設備、照明設備、製造ラインの設備等の電力使用量のモニターや制御を行うためのシステムです。
一般家庭、マンション、ビル、工場などのすべてにおいてエネルギーの管理システム化、スマート化が進むと、次はそれらの建物を含む地域一帯の電力供給量と電力需要の管理を行う地域内エネルギー管理システム「セムス=CEMS(Cluster/Community Energy Management System)」が、地域内の太陽光発電所や風力発電所から供給される電力や、送電網から送られてくる電力をシステム管理するといったスマート化された社会が来ると予測されています。